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事業承継のQ&A

Q1)事業承継とは何ですか?

A1)以下のような後継者への引継ぎのトータルコーディネートが事業承継です。

・後継者の経営をスムーズにすること
・後継者への引継ぎと共に事業を発展させること
・後継者への引継ぎ後も従業員の雇用を確保すること

具体的には、親族内への経営権の委譲(株式譲渡)、M&A、相続税対策などが挙げられます。

Q2)事業承継に十分に対処できない場合の危険は?

A2)事業承継を失敗すると以下のような危険があります。

・お家騒動の危険性
・事業の不安定
・従業員の生活が脅かされる
・社内での理解が得られない
・相続税などの税金面でのデメリット
・後継者が負(マイナス)の遺産を背負う
・議決権が行使できず、経営がロックしてしまう。
・最悪の場合廃業となる

こんな危険を除去するために、事業承継を成功させる必要があるのです。

Q3)事業承継対策って、なぜ大切なのですか?

A3)日本経済を支える中小企業では、近年、経営者の高齢化が進行する一方で、後継者の確保がますます困難になっています。また、事業承継に失敗して紛争が生じたり、会社の業績が悪化したりするケースも多く存在しています。

【経営者の高齢化の進展】
 ・中小企業経営者の平均年齢は約57歳まで上昇
 ・経営者の引退予想年齢は平均約67歳
 ・生存率のカーブは60歳前後から大きく下降

【後継者の確保が困難】
 ・経営者の子供が事業承継する割合は20年前の約半分に
 ・後継者が既に決定している企業は全体の約43%のみ

Q4)事業承継の方法は、どのように決定すればよいですか?

A4)事業承継の方法は、(1)親族内承継(2)従業員等への承継(3)M&Aの3つがあります。各承継方法のメリット・デメリットを把握するとともに、後継者候補等の関係者との意思疎通を十分に行い、承継方法と後継者を確定しましょう。

Q5)私は今50歳で社長をしておりますが、承継はいつから考えればよいでしょうか?

A5)50歳というとまだ経営者としてこれから脂が乗ってくる年齢ではありますが、事業承継について考えるのは、「早すぎる」ことはありません。
今からでも構想を練り、事前に対策されることをお薦めいたします。

Q6)ここ数年中小企業にもM&Aの波が押し寄せているように感じますが、事業承継でM&Aを利用することはできないのでしょうか?

A6)ご指摘の通り、M&Aは事業承継の有効な手段の一つです。特に社長が高齢で後継者がいない場合には、資金力や経営力がある他の会社にM&Aされることによって 事業を継続することができるからです。

Q7)事業承継の際には、相続税はかかるものなのでしょうか?

A7)事業承継については、様々な税金が関係してきますが、その中でも相続税対策は、事業承継を進める上でも 最も重要な対策の一つです。

相続税とは、相続または遺贈(死因贈与を含む)により財産を取得した場合に、一定額を超えるとかかる税金です。

事業承継では、自社株が相続財産としてカウントされる点がポイントになります。

自社株の評価額がその他の財産と併せても基礎控除額以下であれば、課税されません。

ただし、自社株の評価額が思っていた金額より高いケースもよく見受けられますので、相続税はかからないだろうと、漠然と考えているのは少々危険です。

予め、専門家にご相談の上、自社株の評価を試算しておくことをお薦めいたします。

Q8)贈与とは、どういうことをいうのですか?

A8)贈与とは、贈与しようとする者が自己の財産を無償で相手方に与える意思表示をし、 相手方がこれを受諾することによって成立する契約です。

Q9) 相続が起こる前に、後継者である息子に贈与しようと考えているのですが、贈与税はどれくらいかかるのでしょうか?

A9)自社株は帳簿価格で取引することはできません。
贈与税は、他の所得に比べて税率が高いため、税負担が大きくなってしまう可能性はあります。

Q10)相続時精算課税というものがあると聞いたのですが、事業承継に使えるのでしょうか?

A10)事業承継にも相続時精算課税を利用できます。相続時精算課税を利用した場合の財産は、相続時ではなく贈与時の時価で評価されますから、相続財産である自社株式の時価が相続時に上昇していることが見込まれる場合には相続時精算課税が有効です。また、家族構成や財産構成によってどちらにするか検討する必要があります。

この記事の執筆者
司法書士法人奏・奏行政書士事務所 代表司法書士 吉澤裕太
保有資格司法書士
専門分野相続・遺言・家族信託・不動産対策
経歴平成28年に司法書士登録し、おおわだ司法書士事務所開設。令和3年におおわだ司法書士事務所を法人化し、司法書士法人奏を開設。開業以来、地元、上尾市に地域密着で仕事に取り組んでいる。
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